しわ たるみの資料公開!
破綻金融機関の処理に五年という期限をつけて、善良な借り手への破綻の影響を食い止めつつ、他の金融機関に売却して、破綻銀行を消滅させる過渡的な措置のようである。
どうやらこのブリッジバンク構想は、日本政府の案ではなくて、アメリカの教科書を参考にしたコピーのようである。
何せ、このような事態が初体験でろくな準備もない上ににわか勉強であるから、これを適切に機能させるには、なお、先生のアメリカの指導を受けなければならないようである。
日本の金融政策は、この期に及んで実質的にアメリカに支配されてしまいかねない状態にあるのだ。
このような日本政府の右往左往ぶりを見ていると「七〇年前の金融危機のことを忘れているのではないのか、あの時の経験は生かされていないのではないのか」という思いが日に日に強くなってくるばかりである。
大正四年の第一次世界大戦の戦争景気によって始まった大正バブル、大戦終結の反動での景気後退、続いて大正一二年の関東大震災、復興景気と震災手形の発行による不良債権問題、金本位制復活による国際経済の影響、渡辺銀行の破綻を契機にする金融恐慌の発生、さらにアメリカの大戦景気の反動による株暴落によって生じた世界恐慌、昭和恐慌の時代、その十数年は、まさに昭和六〇年から平成一〇年の今日に至る十数年と同じ流れを示している。
しかし、ひとつだけ大きな違いがある。
その違いとは、好余曲折はあったものの、かつての対策が、高聾語、浜口雄幸、井上準之輔らの指導者層の強いリーダーシップによる独立国の政策であったのに対して、今回の対策はリーダー不在の外圧による非独立国の対策であるといわざるを得ない状態になっていることではないのか。
七月二一日の注目の参議院選挙では、経済対策の失敗の焔印を受けて自民党は惨敗、民主党・共産党が躍進した。
H首相は退陣に追い込まれた。
「不良債権処理をどう進めるのか」この問題については、歴史上かつてない国家の危機管理であることを認識し、適格な政策の立案実行が超党派で行われなければなるまい。
些細な違いを競っているときではない。
バブルの清算過程で生じた官僚、大蔵省、日銀のスキャンダルは実に不幸な事件であった。
マスコミも国民主権力者、強者への報復的な心理から、サディスティック岳民間叩きに走った。
このスキャンダルが、不幸なことに、官民慌たちが適切な対策を打ち出せなかった原因の一つでもあった。
問題は、官僚たちの飲み喰いの話ではない。
批判されるべきなのは、ノーパンしゃぶしゃぶで遊んでいたことではなく、接待で得た情報、大蔵省が長い間蓄積してきた資料、情報を有効に使えず、情報の秘匿、処理の先送り、無策を七年も続けたことであり、全体像を明確にできず、もぐら叩きのような場当たり的な対策しか打ち出さなかったことである。
調査不足からか、同じバブル経済を経験しながらも、それを果断に処理した欧米諸国の実情も知らなかったことである。
銀行の経営者も同罪である。
銀行はもともとこのような非常時のために存在しているのであり、非常時に役立たなければ存在意義はなかろう。
個々の企業に健全な経営を指導し、成長を助けるのが銀行の役割なのに、バブルの発生、崩壊、不良債権の増大に銀行自らが不健全な行動をとり、ここまで事態を悪化させてしまった責任はきわめて重かろう。
にもかかわらず、いまだに実質的な責任をとった経営者はいない。
日本の銀行くらい老害化した組織は他にない。
バブルをつくった責任がある相談役、顧問の類の老人がなお威張っているというのは一体どういうことなのか。
米国の対日経済戦略の勝利、日本の第二の敗戦もう一つ、この事態を冷静に見れば、米国の対日経済戦略の勝利、日本の第二の敗戦という見方もできよう。
それは、九八年六月に来日したサマーズ米財務副長官の一行をマッカーサー、GHQの再来と榔撤する報道にも表われている。
日本は、戦後五〇年の経済戦争に勝っていたつもりが、不覚にもバブルに足をとられて敗戦状態に陥ってしまい、アメリカの戦略に屈しようとしているのである。
二〇世紀の後半のアメリカの戦略は、軍事大国のソ連と経済大国日本を攻撃することであった。
九〇年代のバブル崩壊の時期、共産主義、ソ連も崩壊した。
アメリカの軍事的、政治的勝利であった。
経済大国日本がバブルに飲み込まれて没落の道にあることも、アメリカの経済的勝利であろう。
この四半世紀、米国は日本との聞に「経済摩擦」という一種の戦争を行ってきた。
佐藤内閣時代は沖縄返還の代償に繊維を犠牲にしたといわれたが、それ以来自動車、盗事体、ガラス、オレンジ、牛肉、建設などさまざまな通商摩擦が続いてきた。
アメリカは、日本の市場が閉鎖的であり、市場を政官財の利権壇京支配しており、官接の統制こそ最大の障害であると、官僚への批判を強めてきた。
不透明な行政指導、護送船団方式、指忽謡厩争入札と談合などの日本独自のシステムこそ閉鎖性の象徴であるとこれを攻撃して、市場の開放を求めることがアメリカの基本的戦略であったように思える。
「ノー」という通産省を「悪名高き通産省、ノトーリアス」と呼んだのはアメリカ政府であったし、当時の日本はこれを褒め言葉だと思ったというのも今は昔の話である。
アメリカの要求は常に官僚の力をそぐことであり、規制緩和、自由化はその最大の戦略である。
だから、公共工事の芳皐腕争入札や談合を問題にしたのであり、現在は最終ターゲットである大蔵省、金融行政に矛先が向いている。
ビッグバン、金融自由化はアメリカの戦略であり、規制緩和の本当の目的は官僚の力をそぐことにある。
グローバルは世界の動向であり、日本の進むべき道であることは間違いあるまい。
しかし、派生的に生じた官僚パッシング、スキャンダル噴きは実に不幸なことである。
このために、官僚たちは萎縮してしまい、知恵も情報も出せなくなってしまったのだ。
マスコミもすべてその戦略に乗ってしまった。
確かに、フリー、フェアー、八〇年代末から九〇年代にかけて、多くの先進国がバブル経済という現象を経験した。
フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの各国政府は、どうやって危機を切り抜けたのか。
八〇年代、九〇年代に生じた不動産バブルは、多かれ少なかれ、先進諸国に共通した現象であった。
だが、その処理には、国によって著しい差がある。
大部分の国では、すでにバブルの後始末は終り、不動産金融危機は去っている。
不動産市場には燭光が見え、経済は成長を取り戻している。
立ち遅れているのは日本だけなのである。
バブル経済の崩壊による不動産金融危機に関しては、先進諸国は三つのグループに分かれるようだ。
一九九八年三月二六日、二七日の両日、パリでフランス不動産銀行が主催する極めて興味深い国際セミナーが聞かれた。
八〇年代、九〇年代の不動産金融危機に関する六カ国の比較がその目的である。
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